第一号

座敷犬

ちのリクは、体重38キロの大柄なラブラドール。

年齢は3歳で、人間にすると30すぎの風格あふれるワンコです。

しかし、中身は哀れなほどの寂しがり屋です。

家の中でのこと。
私が立ち上がると、寝ているはずのリクもガバッと起きます。

隣の部屋に行くと、リクもトコトコついてきます。
私が、本を読み出すと、「しばらくご主人さまは、動かないから寝るワン」とばかりに寝ます。

しかし、私がかすかに動くと、もう防犯センサー並な速度で、ガバッとおきます。そして、私がそばにいるのを確認して、ほっとした顔をします。

リクの基本的な方針は、

「なにがなんでも飼い主と一緒にいる!」です。

トイレ、風呂はさすがにドアの前で待っていますが、それ以外は、かならず後をついてきます。
ここで問題は、毎日のご主人様の出勤です。
リクは必ずお留守番の運命です。
そうすると、リクはどうなるかというと。

「グオーッ!ワオーン!」

と大騒ぎタイム開始です。
もう、凄くだだをこねます。

手を噛むマネをしたり、飛びかかったりと、いろいろなアクションで「ボ、ボクも連れて行くワン!」とアピールするのです。

私は、リクが玄関から脱走しないように、扉の隙間から、にょろーっと体をだしましす。

体をだし終わり、ピシャっと扉を閉めると、背後で叫び声とともにドーンと前足で扉を叩く音がします。

毎日コレです。

飼い主的には、ぜんぜん気にならない出勤の儀式なんですが、これを人に見られると、マズイ話になります。

じつは以前、近所の小学生が

飼い犬にかまれそうになりながら、かろうじて扉の隙間から脱出し、青い顔で(朝なんで、、)出勤する私を見てしまいました。

ダーンと、ジュラシックパークみたに扉を叩く音も、ご視聴されたようで、それ以来、その小学生は散歩中の私とリクを見ると、

立ちすくみ、それから走って逃げます。


そんなことされたら、エヘヘヘと、リクと一緒に笑ってから、その場で泣きそうになります。

近所では「りく=キ犬(危険)」です。
え?飼い主と一緒だから、安心?

NON、そのキ犬の綱を持っている人も、この前、家の玄関前で襲われていたのです。
まったく信用なりません。

そうねー、走って逃げる気持ちは痛いほどわかりますよー
わかるけどさ、なんか、誤解だって小声で言いたい気分なんだよねー

というワケで俺様のワンコは近所で、いろいろな意味で有名犬だ(涙)
うらやましいだろ?(涙)
うらやましいと言ってくれ


注*散歩前の穏やかな顔です。こうして見れば、穏やかな犬なんですが、、、、おいていこうとすると、コメカミに血管が浮かびあがります


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第二号

リクの恋愛


ある日のこと、リクを撫でていると、目の下に涙を流したような傷があるのに気づきました。

リクは、よく爪で鼻を「痒い、痒い」と引っ掻いているので、そのときにできた傷かと、思ったのですが、どうもその傷、角度的にみると、自分の爪でやるのは無理なんじゃないかなーという位置です。

そこで昼の散歩を担当している母親に聞くと、

「ああ、それ、Hちゃんに引っかかれた」

というなんとも切ない答えが返ってきました。

ハナちゃんというのは、近所に住んでいる黒ラブちゃんです。

以前の母の話だと、「ハナちゃんはリクが大好き」というモテモテ男だったハズですが、なぜこんなことに、、、、と私は、母に問いただしたところ、なんでもリクは非常に「無礼者」だそうです。


無作法にハナちゃんの匂いをかぎまくり、追いかけ回したり、上に乗ろうとしていたそうです。

セクハラしまくりで、エヘエヘいってたら、顔面を思いっきり引っかかれたそうです。

猫ならともかく、犬に

しかも、雄ならともかく、雌に。

どういうことだ?情けないというより、切ない。
切ないよ、リク。
よし!おれが雌犬の口説き方を教えてやろうじゃないか!

まずは笑顔の練習だ!ちがう!そんな弛緩した笑顔じゃ駄目だ!それじゃ変態だ!そう、もっと知的な笑顔で!よし、それだ!偉いぞリク!
とリクを慰めてやりました。

不憫なワンコと飼い主です。


リク、男は傷が勲章って言うじゃないか。
散歩で出会う人には、喧嘩でできた傷です、って言うからな。

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三号

笑う

家に帰って、うぃーっとくつろいで新聞を見ていると、リクがとことこやって
きて、隣に座ります。

もう疲れているので、義理程度にヨシヨシして、新聞を見ていると、ハッハッハッとリクの息が聞こえてきます。

気配的に、どうやら笑っているようです。

犬が笑うの?という疑問もあるでしょうが、犬だって笑います。
学術的にどうのこうのはわかりませんが、散歩中や撫でたときなど、ちゃんと笑います。

これは、犬の飼い主共通に見解だと思います。

しかし、あまりにもハアハアうるさいので、

「野郎、なにがそんなに楽しいんだ?」

と、リクの方をみると、サッと、リクは深刻そうな顔をします。

「あれ、、、、?」

リクは、実にクソ真面目な表情で、私を見ます。

鼻のしたの黒い部分が、チョビ髭に見えるせいか、じつに偉そうで

<あ、君、この前、やれといった仕事の件だがね、報告はまだかワン、まったく遅いワン>

みたいな、嫌な幻聴が聞こえます。
「ふううう」
と私は真顔に戻って、新聞に目を戻します。

しばらくすると、ハッハッハッと笑っているような息が聞こえます。
私が見ると、リクはサッと深刻な顔をします。

そこで、また新聞を見ます。

またハアハアと笑う気配がするので、そっと横目でリクみると、じつに楽しそうな顔で、新聞を読み私を見ています。

<もうほんと俺の飼い主って最高だワン、横顔がほんとに面白いワン>>

みたいな笑顔。
私が、ふりかえると、じっと深刻な顔をする。

「なんだよー、難しい顔すんなよー」と撫でてやると、エヘヘヘヘとじつにいい顔で笑います。

なんでしょうか、この生き物は?

基本的に飼い主の観察が趣味のようです。



追伸
書いてて気づいたのですが、あの深刻な顔、アレは飼い主の命令まちの忠犬リクの顔ではないか?と思いました。
が、やつは命令には渋々従っているように見えます。



笑うリク
笑う写真って撮るの難しいです。

すぐに「え、何だワン」みたな顔になるからです


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第4号
人間だったら


散歩が終わって、リクにブラシをかけることにしました。
今日は休みということで、大変、余裕があります。

おまえを徹底的にブラッシングして、やろうじゃないか、と気合いをいれてブラシを手にしました。

最初にブラシをかけると、毛の生え替わる春ということで、すごい量の犬毛が、舞います。
2分、3分と黙々とブラシをかけ続けますが、ブラシをかければかけれほど、犬毛が抜けます。
私のまわりでは、犬毛が舞って、口で息したらエラいことになりそうな環境です。
これが、おれの頭だったら、と思うと、ぞっとします。

人間が自分の頭にブラシをかけて、こんだけ毛が抜けたら、禿げる

と確信するに十分な量です。
もしかしたら、私がブラシでリクの毛を抜いているんじゃないか、という気すらしたきました。
しまいには肩が痛くなったので、ギブアップしました。
玄関に舞う、犬毛を見て、これが売れたらいいのに、と思いましたが、
もう一銭の価値もないのが、残念です。
誰か、犬毛布団とか、いりませんか?
一年くらい熱心に毛を集めたら、布団くらいできそうなんですが。
絶対、いないと思う、書いてて確信できます。



ハゲの犬って見たことないワン

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第四号

しみのディナー

飼い主が晩飯を食べ始めるとき、リクはかならず飼い主の隣にピッタリとマークしています。

ハアハアという荒い息とともに、凄い笑顔で、私を見ます。
もう、腹が減ってしかたないという目で、私のメシを見ていますが、
カレ、自分のエサは食べ終えています。

犬よりも、飼い主が先ということで、私が食べ初めてから、エサをやるのですが、リクはなにか憎いものをやっつけるが如く、ドックフードを食べ終えて、のんびりと食事中の飼い主のところに、走ってやってくるのです。

ドックフード臭い息で、私の口に
<ゴハンありがとうだワン>のキスをしようとしますが、私は、唇を近づけてくるリクに「わかった、わかったから、あっち行って、静かに飯を食べたいんだ」とお願いして、メシをゆっくり食べようとします。

あっち行ってと言ったのに、お願いむなしく、

リクは、ハアハアいって、と至近距離に座りこみます。

この犬にとっては、これからが本番らしいです。
私が箸を動かすと、リクの視線が箸を追うようについてきます。

肉をつかむと、リクが舌なめずりします。
その肉が私の口に入ると、「ハッ」みたいな
<何か落胆しましたワン、ワシは>みたいなタメ息を吐きます。

私は、なるべく気にせず食べるのですが、横でひた
すら私の箸の動きに一喜一憂している犬がいるので、
いつのまにか、

食べづらいこと、このうえなし

しかし!

無視すること風の如く
静かに食べること林の如く
箸をすすめること火の如し
やらないこと山の如しである、
がんばれ、俺!
負けるな!風林火山だ!

と、いまは亡き武田信玄公のような顔つきで飯を食うはめになります。


しかし、腹が一杯になると、気分が丸くなって
「この野菜ならやってもいいな」とか「この肉だったら、あんまり塩がふってないから大丈夫かな」と考えたりします。

で、結局、ミニトマトとかパセリとかやってしまうワケです。肉とかも。

あっ!、、、、、だからリクは私のところに来るわけですね

反省します、、、、、、、、

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楽しみ
ディナー2


リクは、私が目をはなした隙に、メシを盗み食いしたりしません。
絶対に!そこは私、リクを信用しています。
リクが喋れて、インタビューされたら、こういうでしょう。

ボクは、思うワン!リーダーのメシは、リーダーにモノ。リーダーがくれたモノ以外、私が口をつけることはないだろうワン、決して!決してだワン!!

と奴は胸をはって言うでしょう。
が、少々、うちのワンコは飼い主のメシについて、誤解されているようです。
そういう現場を、このまえ、見ちゃいました。

ある日の食事中、電話がなって、メシから離れて喋っていると、
その隙を見た、我が輩の忠犬リクが、

これぞ、チャンスとばかりに

「いい匂いだわん」と、
鼻がつくほどの至近距離で、肉の匂いをおもいっきりフガフガかいだり、
「面白いワン」とブロッコリーをペロペロ舐めたりして、もて遊んだり!
私は、
「ちょっと待ってて!」と電話を置いて、ウオオッと走っていってリクを叱りました。

リク!
おまえは!
確かにメシは食べてないよ!
でも、ダメ!そんな、ヨダレがつきそうな距離で匂いをかいだり、野菜を舐めたらダメ!
ダメだーっ!

私が怒ると、リクは首をかしげた。
理解不能のときによくやる仕草だ。
わからないワンと言っている


おっ、
かわいい顔しやがって
とおもわず撫で撫でしてしまった






あっ、、、
だからまた匂いをかぐのか、、、


あれ?ぜだろう、昨日も同じオチをみたことがあるという方
あなたの脳はすごい正常です




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パソコン嫌い


リクは私が、パソコンのところに座ると、「本当につまらいないッス」という顔をします。

私の関心をひこうと、スリッパを持ってきたり、
タオルをもってきて噛んだり、といろいろ
アピールするのですが、私は無視モードに入ってます。


ほうっておくと、フテ寝をするのですが、
昨日の寝方は、かなりヘンテコでした。



こんな感じ









パソコンの椅子の
固い脚を枕にするリク


寝にくくないの?

それとも嫌がらせか?

やつはガンジーのように、私がパソコンをやめるまで、
不自然な姿勢で横たわりつづけた
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ボクとマック

このサイトは、アップル社のiMacで制作しています。
珍しいものが好きな私は、iMacのデザインと、MacOSX
の優雅なインターフェイスに惚れて、ウインドウズからマックに転向したワケです。

そんなマックを、なぜかリクは恨んでいます。
なぜでしょうか?

今日は、そんなリクのイヌ語の呟きを、私の独断で翻訳してみました。

え?
脳みそ大丈夫かって

大丈夫です。
ちゃんと、リクの言葉が聞こえます。
あと、最近は、
宇宙と交信できそうな気すらします。


では、奴の呟きに耳を傾けてみるとしますか?



リクの呟き

「えーと、おまえ、マックかワン?
今日はおまえに、一言いいたい!

このマック野郎、憎い、憎いワン!

最近、ご主人さんは、オマエばっかり見てるワン!
ボクの
散歩の時間が、心なしか減ったような気すらするワン(注:減ってません)

ぜんぶ、オマエのせいだワン。
おまえが来てからというもの、ご主人さんはボクに
晩飯をぜんぜん分けてくれないワン
ええっ!どうしてくれるワン!(注:どうもしません)


最初、オマエが来たときは、
箱に入ったオマエと、
記念撮影をしたワン

ボクは、嬉しくて、思わず
目を光らせてしまったけど
今は後悔しているワン、、、!









嬉しくて、目を
光らせるボク
なんちゃって、、、、、、、




えーと、この話、オチてませんよね、、、
でも、落とします!

ハイ!リクの目が、キランと光るというニュースでした。
リクの目はときどき暗闇で光るぞー!
ははははっはは!

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